連載 迷える・悩める・このデータ・4
要介助でも介助なしの謎 part 2「もしや家族が」
星野 桂子
1
1国立保健医療科学院
pp.283
発行日 2002年4月10日
Published Date 2002/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901610
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前回に述べた「排泄要介助の患者であっても1日中排泄介助が行なわれない状況」について,家族が付き添って排泄介助にあたった場合,調査票上は「介助なし」になるのでは,と考えて,今回は家族の付き添いの有無と排泄介助の関係を見てみることにした(図)。
1993年に33病院180病棟で実施した患者調査1)では,5歳以上の排泄全介助患者で調査日に「排泄介助なし」であったのは173人であり,うち70人(40.5%)に家族が付き添っていた。また,排泄全介助で「排泄介助あり」の1627人のうち616人(37.9%)に家族が付き添っていた。これを見る限りでは,家族が付き添っていると調査日の「排泄介助なし」が多いことになるが,その差はきわめて小さい。これでは,排泄要介助にもかかわらず調査日に「排泄介助なし」となる患者が存在する理由として,家族の果たす役割はごく小さいと考えなければならない。
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