レーマ
1つの主張を貫く
高嶋 妙子
1
1聖隷浜松病院
pp.266-267
発行日 1994年7月15日
Published Date 1994/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686902238
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新人時代のこと,公私ともに敬愛する上司に出会い,楽しく充実した日々を送っていた.今になってもその婦長が真ん中にいたいくつもの場面を思い出すことができるし,その時の自分の感情を呼び戻すと,そこはかとなく幸せな気分に浸れるほどである.そのような中でたった1つイヤな場面があった.たった1つだったから,ことさらに記憶に鮮明なのかもしれないのであるが.
療養所の外科病棟は,手術のためだけの病棟であったから,患者の出入りはそれなりに激しかった.当時の世の倣いとして,患者家族からの付け届けも当然のようになされていた.個人名を記した私物を置く戸棚には,いつも靴下・石鹸・タオル・ハンカチなどがあふれていた.自分の手提げ袋に入れる時,何か後ろめたい思いがしたことを覚えているのは,表向きは禁止令が出されていたからであろうか.特に菓子類は常にふんだんにあった.
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