特集 屎尿と塵芥処理
主張
戸田 正三
1
1金沢大学
pp.1-3
発行日 1957年9月15日
Published Date 1957/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201869
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(1)一般論
わが国の諸都市における汚物処理の現状は,由来都市という一つの有機体の各構成部門の中で,最も遅れたものである。世界のいわゆる文化都市を一覧して,日本の都市ことに大都市ほど,汚物処理の手おくれしているところはない。
憲法第25条に定めた,健康で文化的な生活を営む国民の権利に対する最大の障壁は,屎尿処理の行詰りであるといつても過言ではない。まさに糞づまりの重症である。都市における屎尿の衛生的処理は,公衆衛生の向上増進のためにはもとより,日常生活における生活文化の岐路である。今わが都市の最大多数の家庭における屎尿処分は,まつたく野蛮といわざるをえない。かかる風習を是認しては,今後われらが文化的な世界人として,他国人と共存共栄的な社会を構成する場合に,他国人からきらわれる。その例は少くない。
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