連載 ボランティアがつくり支える病院・1【新連載】
ある日のルシール・パッカード小児病院
西村 由美子
1
1スタンフォード大学アジア/大平洋研究所,医療政策比較研究プロジェクト
pp.70-73
発行日 2002年1月10日
Published Date 2002/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686902110
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病院の環境と背景
スタンフォード大学のキャンパスの北端に,同大学医学部付属病院に隣接して3階建てのかわいい赤い屋根のビルディングが建っている。ルシール・パッカード小児病院である。同大学病院の一部と提携しながらも,経営管理上は独立に機能している個性的な病院で,小児医療に関わる研究,教育,そして治療のすべての分野にわたってサービスを提供している。
病床数240床の病院に毎年およそ1万5000人の入院患者を受け入れており,少子化が叫ばれる今日でもなお年間5000人の赤ちゃんがここで生まれている。だが,高度先進医療機関としての病院の性格上,ハイリスクの出産も多く,麻薬の常用その他の理由による超未熟児などが集中する傾向にあり,ICUもNICUも常に満床というのが現実である。年間80件余の臓器移植が行なわれる一方(手術室は大学病院本体と共有),入院や手術の予後のフォローアップなどに外来診察室を訪れる患者は,年間およそ10万人である。これに対応する医師は約500人(研修医も含む)である。
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