特別記事
医療過誤後の不誠実な対応と損害賠償責任―医療過誤被害者の権利から考える
高橋 真司
1
1芝大門法律事務所・医療問題弁護団
pp.554-557
発行日 2002年7月10日
Published Date 2002/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901671
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はじめに
医療過誤事件では,医療機関の生命健康侵害行為の責任追及が中心に行なわれる。しかし,医療過誤被害を受けた患者やその家族は,従来から医療過誤後の医療機関による過誤隠し等の不誠実な対応によって,生命身体被害に対する損害賠償請求および,後述の原因究明,情報開示,説明を求める権利,謝罪と再発防止を求める権利,被害回復を求める権利といった被害者の権利(被侵害利益)の実現を阻まれてきている。
医療事故があったとき,被害者が医療機関に対して抱く思いは,とにかく何があったのか知りたい,説明して欲しい,過ちがあったなら謝罪してもらいたい,再び医療事故を繰り返してもらいたくないということである。
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