コラム 医事法の扉
第7回 「損害賠償」
福永 篤志
1
,
河瀬 斌
1
1慶應義塾大学医学部脳神経外科
pp.1167
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436101204
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医療行為と患者側の損害発生との間に因果関係が証明されると,今度は損害賠償の問題になります.損害賠償は,通常,医療契約の履行義務を果たさなかったという「債務不履行」(民法415条)と,そもそも患者さんの生命,健康といった基本的な権利を不当な医療行為によって侵害したという「不法行為」(同709条,715条)の,どちらか一方を基礎として請求されます(両方を請求原因としてとりあげる請求権競合という考えもあります).いずれの請求原因かによって,消滅時効や,証明責任(原告と被告のどちらが証明しなければならない事項か)などの訴訟手続上の違いはありますが,原則として,賠償額には差はありません.
損害賠償には,大きく分けて3つの問題があります.①対象(被告)は誰か,②損害の範囲はどこまで及ぶか,③実際の金額はいくらか,という問題です.
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