特別記事
看護職の社会的位置付けとしての保助看法を考える―2001年の改正点を中心に
坪倉 繁美
1
1厚生労働省看護研修研究センター
pp.144-147
発行日 2002年2月10日
Published Date 2002/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901577
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看護という仕事は,国内外で女性性と強く結びついていた。日本では,看護婦という名称が現われる,あるいは法による取り締まりが行なわれる以前の,江戸時代に病人の世話をしていたのは,婦人や下女であった。看護は,このような女性の家事としての義務から,現在のように一定の教育を受けた者が資格を持って専門職として働くことができるように成熟してきたプロセスがある。成熟度を後押ししてきたものには,疾病構造の変化,国民のニーズ,看護学の発展など数々の要因がある。しかしながら,1948(昭和23)年に制定された看護職の身分法である保健婦助産婦看護婦法は,半世紀を経てなお,抜本的な改正はなく,昭和23年当時の看護職を取り巻く社会的・行政的な課題を内包したまま今日に至っている。法に現存する課題は,看護職の身分をも低くし,その自立さえ阻んでいる。
しかし,昨2001年には多くの改正がなされ,専門職としての看護職の自立に拍車をかけた。2001年12月改正の「保健師助産師看護師法」,同6月には欠格条項の見直し,守秘義務の規定の追加と,状況は一挙に前進した。
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