こえ
全会員が十分検討したうえで—保助看法改正をめぐって
田中 浩子
1
1川崎市高津保健所
pp.67
発行日 1964年5月10日
Published Date 1964/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203118
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保助看の教育を1本にし総合教育へ,雑用は看護婦以外の者で,准看を廃止する,などの魅力あるキャッチフレーズで受けとめた観のある保健師法案を,もう一度堀り下げて考えると,いろいろな問題にぶつかるのではないかと思う.
第1に問題になるのは教育課程で今の保助看の教育は統一性がなく重複する部分が多いために,これを一元化し総合教育にもってゆくのはけっこうなことだと思う.しかし,現在5年でとる保助看の資格を4年に短縮するだけではレベルアップにならないと思う.専攻の形をとらず単に三つの資格が与えられることは,現在の社会情勢では使用者にとって需要に応じて保助看いずれの職種としても利用でき便利な存在である.反面,私たちにとっては専門として希望する以外の業務まで押しつけられはしないかという心配がある.世の中が分業化し,専門化してゆく今の社会に逆行してゆくものではないか.また経過措置についての不明確な点が多く,人手不足で困まっている現在の職場でどのようにして全員が講習を受けられるか疑問に思う.切り換えるための現状をふまえた確実な見とおしをもち,またそうさせるだけの実力やその具体策が看護行政の中にあるだろうか.なによりもまず国民の医療費におぶさった今の各種学校の教育を,学校教育法にもとづく大学制にもってゆくための政策的努力が先決問題ではないかと思う.
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