特集 クリティカルパスの管理
アウトカムが高めるクリティカルパスの精度と実用性
松本 あき子
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1東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻看護管理学分野
pp.283-289
発行日 2000年4月10日
Published Date 2000/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901185
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退院基準としてのアウトカム
クリティカルパスに設定するアウトカムはどのようなものかと調べてみると,「在院日数は14日』『両下肢荷重の松葉杖で歩行できたら退院」「ドレーンが抜けたら退院」というように,退院基準を示している場合が多い。このような明確な退院基準を医療従事者だけでなく患者に対しても示し,療養に関する情報を共有することができるようになったのは,実際にはつい最近のことである。もちろん,クリティカルパスをはじめ様々な手段や方法の導入体制は,施設によってまちまちなのが現状である。
在院期間を何日にするのか,あるいはどのような臨床状態で退院して自宅で療養できるのか(転院してもらうのか),などの現実的な基準は,それぞれの施設特有の状況を加味したうえで設定されるアウトカムである。在院期間を短くした結果空床が増え,定員を満たした看護人員は暇そうにしているが,そう簡単にベッドの数や看護婦を減らすわけにもいかないとか,患者は点滴やドレーンをさっさと抜かれて命からがらの思いで退院を余儀なくされるなどは非常にやりきれない状態であり,厳しく考えれば過失といえる。
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