特集 研修医を病棟に迎える
チーム医療の視点で医師養成を考える
今中 孝信
1
1天理よろづ相談所病院総合診療教育部
pp.594-598
発行日 1998年8月10日
Published Date 1998/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900864
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はじめに
現在,医学部卒業者は国家試験に合格すれば医師免許が与えられるが,実地に必要な臨床能力は極めて不十分である.これまで学部教育で知識主体の教育が行なわれていて,技術や態度の教育に必要な臨床実習が不足しているためである.そのため,卒業後2年以上の臨床研修を行なうように努めることが医師法第16条に定められている.しかし,実際に研修しているのは約8割で,研修の内容についても種々の問題を抱えている。
学習活動はすべて,ニーズ→目標→方略(方法・資源)→評価というプロセスを経過するが,医師の卒後臨床研修も同様である.わが国では,すでに高齢社会を迎え,急性重症疾患から生活習慣病を中心とする慢性軽症疾患への疾病構造の変化,患者の人権意識の高まりによる自己決定権の主張や医療訴訟の増加,医療費の高騰など,医療をめぐる諸問題が山積しており,医療は疾患・医師中心の医療(DOS=Disease/Doctor Oriented System)から患者中心の医療(POS=Problem/Patient Oriented System)への転換を余儀なくされている1).
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