連載 人間として,医療人として―東海大「安楽死」事件はわれわれに何を教えたか・7
医学教育の見直しが迫られている
奥野 善彦
1,2
1北里大学
2奥野法律事務所
pp.587-595
発行日 1996年8月10日
Published Date 1996/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900528
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京北病院事件も氷山の一角か?
"末期がん患者「安楽死」,「患者,死の寸前だった」".この副題は,京都府京北町の町立病院の医師(58歳)が,末期がんで苦しんでいた男性患者に,今年4月,筋弛緩(しかん)剤を投与し,死亡させた事件に関する1996(平成8)年6月7日付朝日新聞朝刊の見出しである.「ベッドでけいれん状態だった患者の『最期の時』が近いことを確信し,筋弛緩剤を点滴に混ぜたという.直前まで,家族は『早く楽になって』と繰り返し,『せい惨な状況だった』とも振り返る.一方で,患者本人に病状についての告知はしておらず,安楽死についての『本人意思』も確認していなかった」と同紙は報じている.
続いて同紙は,「京北町役場で6日夜,町立病院の院長(前記措置をした医師)は記者会見をした.院長は,激しく苦しむ患者を前にした,ぎりぎりの選択だったと話した.
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