連載 実証研究・8
千葉県下3病院にみる中小民間・「基準看護」非採用病院における看護労働
課題と展望
林 千冬
1
1東京大学大学院医学系研究科博士課程・保健社会学教室
pp.327-333
発行日 1993年9月15日
Published Date 1993/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900192
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職場改革の条件
「みんなで良くしていきたい」という願い──組織化の指向性
3病院の「看護婦」たちは,「基準看護」非採用という経営方針に規定され,「看護の専門性」を発揮しえない中で,多かれ少なかれ疑問や不満を抱きながら日々働いている.繁雑なルティン業務を〈とにかくこなすこと〉や,個々人が所定業務の枠を越えて時々行なう"看護婦らしい仕事"("個人プレー")に刹那的な達成感を得ることはできても,彼女たちの不満が根本的に解消されることはない.
半ば八方塞がりとも映るこの状況を,「看護婦」たちの誰もが個人的には「みんなで良くしていきたい」と願っている.従来,看護業務はチームで取り組まれるのが常であり,こうした指向性じたいは別段彼女たちにのみ特殊なこととは言えないだろう.
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