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特集 家族性高コレステロール血症(FH)診療のパラダイムシフト—PCSK9のインパクト
FH診療の展望と課題
Challenges and Prospects Facing Medical Care for Familial Hypercholesterolemia
小倉 正恒
1
,
斯波 真理子
1
Masatsune Ogura
1
,
Mariko Harada-Shiba
1
1国立循環器病研究センター研究所病態代謝部
1Division of Lipid Metabolism, Department of Molecular Innovation in Lipidology, National Cerebral and Cardiovascular Center Research Institute
pp.1095-1101
発行日 2016年11月15日
Published Date 2016/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404206065
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はじめに
わが国では2016年からPCSK9に対する抗体療法が始まり,その強力なLDLコレステロール(LDL-C)低下効果により,今まで管理目標値への到達が困難であったFH患者のうち,多くの患者のLDL-C値を低下させることが理論的には可能になった.コストをはじめとする課題があるものの,LDL-C値を管理するという点においてFH診療の未来はずいぶん明るいと感じる.一方でPCSK9阻害薬はスタチンのようなLDL-C低下作用以外の多面的作用を有しているのか,重症FH患者においてLDLアフェレシス療法の代替治療になりうるのかなど,議論すべき課題がある.
最も重要なことはFHの早期診断率がいまだ低く,家族スクリーニングが不十分なために本来であれば予防できるFH患者とその家族の心血管イベントを阻止できていないことであり,具体的な改善策を講じる必要性に迫られている.本稿では,上記に加えて小児FH診療の方向性やFHの残余リスクなど,今後のFH診療の展望と課題について論じたい.
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