提言
看護の専門性とは
小西 恵美子
1
1東京大学医学部附属病院内科
pp.243-246
発行日 1993年7月15日
Published Date 1993/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900177
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はじめに
「看護」という言葉には,人の心の琴線に触れる味わいがある.看護婦や看護士になりたいと思っている若い人々が相変わらず多いと聞く1,2).看護に対し,彼らなりの理想を描き,看護婦(士)となってそれを実践したいと願っているのであろう.私自身,看護系の大学を卒業して以来,大学で看護とは直接関係のない研究室で仕事を続けてきたが,その間,研究の視点が医療へ,そして看護へと自然と向かっていくことは抑えようもなく,思い切って大学病院の看護婦となったのはつい最近のことである.
当初,病棟を分刻みで走り回る看護婦たちに目を見張り,これほどのプロ集団が同じ学内にあったことに衝撃を受けた.しかし,その一員として業務に追われる日々を重ねるにつれ,業務への責任感あふれる同僚にますます強く敬服の念を抱く一方で,ある種の苛立ちが募りつつあるのも事実である.一言でいうとそれは,看護婦としての専門性が見えてこないことに対する苛立ちである.
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