特別論文
看護の専門性と法的責任
紙屋 克子
1
1筑波大学医科学研究科
pp.983-986
発行日 2000年12月10日
Published Date 2000/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901142
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はじめに
この数か月間,国民の医療に対する不安や不信を深めるのに十分な医療事故の発生と報道が相次いだ。これらの報道されている事故が,国公立・民間病院を問わず,高度医療を担うそれなりの規模の施設で発生しているというのも特徴である。また,一連の医療事故に関連した反応の中には,看護職に対する厳しい見解や疑問も呈されている。代表的な意見の1つは,明らかに看護職が関与した事故であるにもかかわらず,公表する場に看護の責任者が登場しないのは,一般市民感情の点からみても違和感がある,というものだ。そしてもう1つの意見は,医療事故の一方の当事者が看護職であるのに,裁判では医師の責任が追及されているということ。看護者は,専門職として自らの責任を明らかにするべきではないのか,というものである。いずれも一理ある疑問と意見であり,看護職として,これらの疑問に答えることは大切なことである。
そこで本稿では,医療における看護の専門性と看護行為の法的評価および責任について検討してみたい。
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