書評
臨床判断ティーチングメソッド
佐々木 菜名代
1
1浜松医科大学医学部附属病院
pp.146
発行日 2021年2月10日
Published Date 2021/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686201789
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知識と実践の間を埋める素晴らしい1冊
新人看護師だった30数年前,私は実家に帰る度に,現場で体験したことを両親に話した。恐らく,目をキラキラと輝かせながら語っていたと思う。「看護婦さんがね……」と,先輩看護師のことを話すたびに,「おまえも看護婦だろう」と両親は笑いながら聞いていた。当時は学生気分が抜けないから,先輩のことを「看護婦さん」と言ってしまうのだろうと思っていたが,この本を読んで気づいた。Thinking like a nurse:看護師のように考える—自分とは違う,看護師らしいものの考え方,そして,それに基づいて実践をする先輩に対する尊敬と感動が,「看護婦さんがね」という言葉として現れたのだと思う。
本書の著者らは,聖路加国際大学修士課程で,看護教育学上級実践コースを開設し,Clinical Nurse Educator(CNE)を育成している。CNEコースは,「未来の看護教育者を育成する」というコンセプトのもとに創設されたコースである。臨床に軸足を置き,学生や臨床看護師の教育を行うCNEの活躍を目の当たりにしたとき,看護職の教育の場に新たな時代が到来したことを感じた。古い時代の看護教育と,新たな時代の看護教育の違いは何なのか……。その答えがこの本の中にあった。
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