連載 学生なら誰でも知っている 看護コトバのダイバーシティ・12【最終回】
多様性
木村 映里
pp.973
発行日 2017年12月25日
Published Date 2017/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200875
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いよいよこの連載も最終回となりました。看護師になって2年目から連載をもたせていただくなかで,病棟を辞めてクリニックで働くようになったり,うつ病で休職したりと1年でいろいろな経験をしましたが,常に考えていたことは,看護師の,患者さんの多様性です。
私の卒業論文のテーマは,「性風俗産業に従事するシングルマザーの生き辛さ」でした。20代で,2歳の娘さんと2人暮らしをしている女性にインタビューをして,ライフストーリー法で分析を行ったのですが,彼女が過ごしてきた日々のすさまじさに,言葉を失いました。夫からのDVを受け,妊婦専門の風俗店で働きながら離婚のための資金を貯めたこと,実家と絶縁しており子育てのすべてをひとりで抱えなくてはならないこと,一般的な仕事をしたくても幼い子どもを育てているがゆえにどこにも就職できないこと,彼女自身の精神疾患,性風俗産業で働いているという負い目,社会的に追い詰められていることで子どもに負の感情を抱いてしまう自身への嫌悪感……。
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