連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・127
障害児の限りない想像力,創造性を見よ
柳田 邦男
pp.92-93
発行日 2017年1月10日
Published Date 2017/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686200634
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小中学生がいじめられている辛さゆえに自殺に追いこまれる事件が明るみに出るたびに,私は息苦しくなると同時に,憤りを覚える。なんで教育界は,子どもたちから偏見や差別の感情を「悪」として排除する根本的な教育に取り組もうとしないのか。最近明らかになった,原発事故後に福島県から横浜市に避難した家庭の子が転校時の小学校2年生の時からいじめ続けられて5年生の途中から不登校になり,中学1年生の今もフリースクールに通学している問題は,学校や市の教育委員会の対応の無責任ぶりに,「これが教育者か」と言いたくなるほど深刻な問題だ。
このような偏見と差別は,日本だけの問題ではない。偏見と差別の問題は,人類の歴史とともに古いと言ってよい。人種差別,障害に対する差別,ハンセンなどの感染症の患者に対する差別などは代表的なものだ。
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