Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
『グリム童話』の『死神の使い』―警告としての病
高橋 正雄
1
1筑波大学人間系
pp.1568
発行日 2012年12月10日
Published Date 2012/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108860
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『グリム童話』に収められている『死神の使い』(植田敏郎訳,新潮社)には,今日言うところの生活習慣病を思わせるいわば警告としての病という考え方が示されている.
大昔のこと,巨人と戦って敗れた死神が道端に倒れているところに,一人の若者が通りかかった.若者は半分気を失っている死神を抱き起こすと,持っていた瓶から気つけの飲み物を口へ流し込んでやった.やがて起き上がった死神は,若者に次のような感謝の言葉を述べた.自分は死神で,誰彼おかまいなしにあの世に連れていくのが仕事だから,助けてもらったからといってお前だけを特別扱いするわけにはいかないが,感謝のしるしとして,いきなりお前につかみかかるようなことはせず,お前をあの世に連れていく前にお前のところに使いをやろう.
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