連載 職員の安心を支える病院デカ・22
“ナースよ銃をとれ”
田中 俊夫
1
1近畿大学医学部附属病院 安全管理部
pp.947
発行日 2013年10月10日
Published Date 2013/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102914
- 有料閲覧
- 文献概要
突然の拳銃騒動
「入院患者が拳銃を持っているようです」。出勤して間もなく医療安全対策課に,刑事課の朝会のような情報が飛び込んできた。検温のため訪室した看護師が,ベッドの上であぐらをかいた患者の膝もとに拳銃のようなものがあるのを目にした。見られたと気付いた患者は慌てて布団でそれを隠し,「ライターやで」と言い訳をしたという。
看護師からの聞き取りの結果,拳銃は小型の自動式,患者は全身に入れ墨のある男だとわかった。病院職員として第2の人生を送っていることを忘れて,元刑事課長の血が騒いだ。所轄署に通報し,人定(人物特定)した結果,病気の治療のために身を隠すように入院している,名高い武闘派組織の元組長であることがわかった。
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.