特集 業務改善と標準化に向かって パスを見直そう
地域全体の医療の質向上をめざした地域連携パスの見直し
三原 美雪
1
,
三原 一郎
2
1山形県立鶴岡病院
2山形県鶴岡地区医師会
pp.874-877
発行日 2011年9月10日
Published Date 2011/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102195
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地域連携パスの概要と変遷
最初に地域連携パスが生まれた背景とその変遷について簡単に触れたい。既知のとおり,わが国の医療は,超高齢化に伴う慢性疾患患者の増加,医療費の増大,求められる医療ニーズの変化などの社会的な背景のもと,病院から患者を健康体として社会へ送り出す病院完結型医療から,身体的機能障害を抱えながら地域で生活する地域完結型医療へ,すなわち,治す医療から支える医療へ,医師中心医療からチーム医療へというパラダイムシフトの渦中にある。
2006(平成18)年4月の第5次医療法改正では,「患者の視点に立った,安全・安心で質の高い医療が受けられる体制の構築」が地域ごとに求められるようになり,4疾患5事業においては医療連携体制の構築が義務化された。そのためには,①医療情報の提供による適切な医療の選択の支援,②医療機能の分化・連携による切れ目のない医療の提供,③在宅医療の充実による患者の生活の質(QOL)の向上,が必要になった。特に,②医療機能の分化・連携による切れ目のない医療の提供には,これまでのピラミッド型の医療連携から,患者を中心にした疾患別ネットワークの構築という新たな医療連携体制へのシフトが必要であった。
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