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はじめに
千葉県は,1960年代から1970年代の高度経済成長期以降,東京都と隣接する地域を中心に人口が急増し,現在の人口は約620万人,全国第6位である.一方,県内に医学部を有する大学は1つしかなく,これも1987年に定員が削減され,結果として,県の人口急増に医師数が追いつかない状況が続いている.本県の人口10万人に対する医療施設従事医師数は161.0人で,全国第45位である1).
1985年の第一次医療法改正に伴い,都道府県は「地域医療計画」を導入し,公的病院に加えて私的病院にも病床規制が行われることとなり,基準病床数を超える増床は認められなくなった2).そのため現状では,人口10万人に対する病院病床数は922.7床で,医師数と同様に全国第45位である3).本県は,医師数,病床数ともに全国平均を大きく下回っている.
一方,県の総人口に対する65歳以上人口の割合である高齢化率は,2005年に17.5%と全国で5番目に若い県であったが,団塊の世代が高齢期を迎える2015年には26.2%と,約4人に1人が高齢者となる見込みである4).この10年間の高齢者人口の増加率は50.6%と予想され,埼玉県に次いで,全国第2位である4).
今後の急速な人口の高齢化に伴い,医療需要が増加することは十分に予想されるが,対応すべき医師数,病床数が共に全国ワースト3位という医療状況では,医療機関の役割分担と相互の連携を図ることが喫緊の課題と考えている.
医師不足による医療提供体制の弱体化は全国各地でみられ,医療機関の役割分担と連携の重要性が医療関係者の共通認識となり,連携のツールとして「地域医療連携パス」が地域の病院を中心に導入されている5).
本県では,千葉県医師会,関係病院などとの協働により,全国に先駆けて,がん,脳卒中,急性心筋梗塞,糖尿病(以下,4疾病)に係る全県共用型の地域医療連携パスとして「千葉県共用地域医療連携パス(例示モデル)」6)(以下,千葉県共用パス)を作成し,2009年4月から運用を開始した.
本稿では,千葉県共用パスの作成に至る経緯および現状と今後の課題などについて述べる.
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