特集1 引き継ぎ時間短縮から労働環境の改善につなげる
部分最適と全体効率のなかで考える引き継ぎ
砥石 和子
1
1杏林大学医学部付属病院
pp.460-464
発行日 2011年6月10日
Published Date 2011/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102066
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
政策誘導されてきた在院日数の短縮によって,医療の現場ではさまざまな変化が生じています。この変化に対応するためには,現場の改善は欠かせません。本特集のテーマである「引き継ぎ」に関する問題も同様です。看護職は,言うまでもなく患者にもっとも近いところで,24時間365日ケアを提供し続けています。しかし,そのケアは,複数の看護職が引き継ぎを行ないながら,ケアの質を担保しつつ継続していくことになります。引き継ぎ業務の時間が長くなると,患者のベッドサイドに看護職が不在になる時間が長くなり,また,引き継ぎの時間帯は前勤務者と次勤務者の狭間の時間でもあることから,看護の責任の所在が不明確となりがちで,インシデントの発生率も高い時間帯でもあります。
患者のベッドサイドに看護職が不在となりやすい状況を減らし,なおかつ必要な情報を伝達し,看護ケアの質を担保するためにはどうのように引き継ぎしていったらよいか,どのような業務の組み立てや改善をしていったらよいのか,各施設でも検討を重ねていることと推察します。
本稿では,その課題,つまり引き継ぎ時間短縮に対して,当院がどのように対応しているか,その取り組みと評価を紹介します。
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.