同人放談
全体と部分
田淵 昭
1
1広島大学
pp.1139
発行日 1960年12月10日
Published Date 1960/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202342
- 有料閲覧
- 文献概要
科学が進歩するにつれて,研究範囲も広汎となり,多岐に亘り,数多くの分科に分けられ,学徒はそれぞれの専門を深く掘りさげて研究する様になつた。学問の進歩は恐らく,この方法による外に仕方がないであろう。しかし,分科内の専門があまりにも進みすぎた為,同一分科に属する学徒も,他の学徒の研究は理解し難く,又関心さえももたない傾向が現われて来た。果してこれでよいのであろうか。
太陽系に地球が発生し,何億年かの年月の間に生物が地球上に現われ,やがて人間にまで進化して来たが,これが理解は物理学,化学,生物学等の分科的知識のみでは不可能であり,現代は人工衛星により生物が宇宙旅行をなし得る時代であるが,此の画期的な成功も科学のあらゆる分科の綜合協力によつて初めて可能となつたのであろう。
Copyright © 1960, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.