特別記事
ネットワークを重視した「臨床倫理事例研究会」の創設
福岡 富子
1
,
百岳 富美乃
2
,
清田 はるひ
2
,
越村 利恵
3
,
下村 篤子
1
,
渡壁 晃子
4
1財団法人住友病院
2社会福祉法人恩賜財団済生会兵庫県病院
3国立大学法人大阪大学医学部附属病院
4医療法人友紘会彩都友紘会病院
pp.1170-1175
発行日 2010年12月10日
Published Date 2010/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101907
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はじめに
医療・看護の基盤である倫理が,改めて取り上げられるようになったのは,臓器移植や遺伝子治療などにより,生命の価値が問われるようになったことに加えて,医療者主導から患者の自立を重視するヘルスケアの変化によるところが大きい。臨床現場においては,病院機能評価の受審に伴い,患者の権利や倫理に関する方針が,理念や基本方針で明文化されるようになった。このような状況を踏まえて,どの病院も患者の権利を尊重し,患者満足度を高めることを目標に掲げ,努力していることは言うまでもない。
特に,患者の「権利擁護者」であることが求められている看護職にとっては,倫理的問題への感受性を高め,身に付け,実際に活かす事が肝要であろう。なぜなら,そのことが,看護の本質,看護の原点を見失うことなく,看護の質を高め,スタッフの成長に寄与する基盤となるからである。
本稿では,倫理的視点を身に付け,その活用を促す一つの手段として,複数の病院で立ち上げた「臨床倫理事例研究会」について紹介する。
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