連載 リレーエッセイ 医療の現場から
「喫茶・りんり」から「臨床倫理部」創設へ
板井 孝壱郎
1,2
1宮崎大学医学部社会医学講座 生命・医療倫理学分野
2宮崎大学医学部 附属病院 中央診療部門 臨床倫理部
pp.247
発行日 2013年3月1日
Published Date 2013/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102487
- 有料閲覧
- 文献概要
近年「医の倫理」をめぐる状況は大きく変貌し,生命科学研究や新薬開発,医師主導型臨床研究等における「研究倫理」の問題,そして終末期医療における延命治療の差し控え・中止や,遺伝子診断等をめぐる「臨床倫理」の重要性がますます注目されるようになっています.安全管理業務や医療の質向上など,病院機能評価をはじめとする医療マネジメントを考えるうえでも,今や「倫理」は欠かせない時代となりました.もはや,ただひたすらに「患者のために」というモラル意識や善意から,医療従事者が“粉骨砕身,懸命に身を捧ぐ”という姿勢だけでは対応しきれない「倫理的問題」が頻発している状況です.
「いったいどうすればよいのか…!」と“苦悶に満ちた”とさえ言えるような倫理的ジレンマに遭遇した医療スタッフを支援する「倫理コンサルテーション」を担う人材育成は,欧米諸国では2000年以降急速に普及しつつある一方で,日本国内では極めて不十分なままであると言わざるを得ません.
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.