特集 NSTが実現する医療の質向上――診療報酬改定をさらなる契機に
病院を元気にするNST―いま,あらためてNSTの意義,看護師が果たす役割を再確認
矢吹 浩子
1
1医療法人明和病院
pp.568-572
発行日 2010年7月10日
Published Date 2010/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101777
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
栄養療法はすべての治療法の根幹にかかわる重要な患者ケアであり,今ではその重要性が周知され,栄養サポートチーム(Nutrition Support Team:以下,NST)の活動が普及しているが,わが国におけるNSTの歴史は浅く,ほんの十数年前まではNSTという言葉自体ほとんど知られていなかった。
わが国では,1998(平成10)年に鈴鹿総合中央病院が初めて全科型NSTとして活動を始めて以来,NSTは徐々に普及し,2004(平成16)年に日本医療機能評価機構の病院機能評価Ver.5.0の評価項目で栄養管理組織の設置や栄養管理の組織横断的実践を取り上げられた頃から,NSTを設置する医療施設は急激に増加した。現在,日本静脈経腸栄養学会(JSPEN)によるNST稼動認定施設は1355施設である。また今年度の診療報酬改定で栄養サポートチーム加算が新設されたことから,NSTの設置施設は今後ますます増加していくであろう。
ところで,栄養管理は,「栄養」という言葉に管理栄養士の専門領域というイメージがあり,看護ではなかなか研鑽の進まなかった領域である。
しかし,ベッドサイドケアを担う看護師にとって栄養管理は,実のところ,きちんと修得しておかなければならない知識と技術である。看護師による観察と正確な実施技術がなければ,良質の栄養管理は行なえないといっても過言ではない。医療の質向上のために,栄養管理において看護師および管理者がすべきことは,NSTをいかに活性化させ,栄養管理活動にいかに参加するかである。
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.