特別記事
WHOの提唱する9つの医療安全対策―組織の“医療安全力”評価への活用
石川 雅彦
1
1日本医療安全研究所
pp.412-416
発行日 2010年5月10日
Published Date 2010/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101738
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近年,医療安全を取り巻く状況は国内外で変化し,医療安全推進,および医療の質向上の重要性は増している。日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業第17回報告書(平成21年6月24日)をみても,多種多様の報告がなされており,特に患者取り違えに関連した医療事故の発生件数は,平成16年以降,年々増加傾向にあることも報告されている1)。今後,さらに医療安全を推進するためには,自施設における医療安全管理体制の現状を評価し,進むべき方向性を明確にすることがトップマネジメントに求められている。
WHOは医療安全推進という観点から,2007(平成19)年5月,“Nine Patient Safety Solutions”(以下,NPSS)2)として医療安全推進における9つの課題と安全対策を提唱した(図1)。ここには,国際的な流れに沿って,有害事象の発生を減少するために,課題と必要な安全対策,リスク低減の介入結果や実施における障壁,および実施後の展望などに関して簡潔かつ具体的に記載されている。そこで,今回改めて,インシデント・アクシデント事例の再発防止と未然防止の観点から,公表後約2年を経過し,世界中で実施可能とされているWHOが提唱する9つの医療安全対策を振り返り,今後,取り組むべき医療安全推進対策への活用に関して述べる。
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