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医療報酬の総合原価に対する一つの提唱
橋本 寿三男
1
,
加倉井 駿一
1
1厚生省国立病院課
pp.7-8
発行日 1950年9月1日
Published Date 1950/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200196
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病院長が若し経済人であつたならば私の病院の「虫垂切除術」はいくらかゝつているか「血糖の測定」はいくらにすればよいかという様なことが大に話題の種となり問題となることと思う。然し日本の病院長は経済人ではない。一応企業である筈の開業医に於てさえ社会保険の点数を対照としてやすいとかたかいとかの批判はあつても「では御宅ではいくらかゝつていますか」ときかれて答え得る人は少ないと思う。こんな経済人的なものの考え方がすべてであつてはならないのは勿論であるが,病院も亦能率を第一とする企業でなければならないのであるから,一応医療費の原価は計算さるべきものと思う。
唯,その方法があまりにも複雑であつて多くの時間と人手を要する場合には問題とならないが,この度我々は行政上の要請から原価計算をやらざるを得ないことになつて,いざやつてみるとその病院の最も適切な能率判定の資料になると考えられる一つの方法を案出し得たので,こゝにこれを提唱するわけである。本誌上でも守屋氏,山元氏らの卓抜な病院経済に関する論文があり,これらについて我々は多くを学んだ,然し,病院を生産工場と考えて(こんな言葉は医業をぼうとくするものであるが表現上他に適切な言葉が見当らないのでそのまゝ流用することにする)その製品であるところの診断・検査,手術等の各々の価格を比較することが出来ない。この先一歩前進したい。
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