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三層構造の患者相談窓口を設置
厚生労働省では,2001年5月に「医療安全対策検討会議」を設置し,2002年4月には「医療安全推進総合対策」を取りまとめました.その柱となるのは,①医療に対する安全と信頼の確保,②事故防止のシステムの確立,③安全対策のための環境整備の3点で,同年10月には,すべての病院と有床診療所に,安全管理委員会や事故等の院内報告制度など,一定の安全管理体制の構築することを義務化しました.これに積み重ねる形で,2003年4月から特定機能病院および臨床研修病院に,安全管理者の配置と安全管理部門の設置,「患者相談窓口」の設置を義務化しました.
「患者相談窓口」の設置に関する省令の解釈通知で,患者相談窓口は表のように規定されています.重要なのは下線の部分で,患者さんからの申し出を各々の個別事例としてではなく,院内の安全対策や事故防止の改善を図る糸口にするものと定められています.産業界では,顧客や従業員など個人のなかにある気づきや知恵を,暗黙知も含めてすくい上げ,組織を改善していこうとする「ナレッジマネジメント」が行なわれていますが,医療界も同様に患者や職員の提案から院内組織を改善していくべきです.
ときには院内だけで解決できない問題もあると思います.そのため,本年度中に,「医療安全推進総合対策」の一環として,都道府県・二次医療圏レベルにも,「患者の相談等に対応できる体制」を確保します.医療行政の単位である47都道府県内それぞれに,完結した三層構造の患者相談窓口ができるということです.都道府県の医療安全センター(仮称)は,患者の相談に迅速に対処するとともに,医療機関に情報提供したり,指導助言したりして,医療安全と患者サービスの向上を図ります.都道府県・二次医療圏の相談職員には,「看護師」を指定しました.やはり,病気のことや治療の内容にまで踏み込んで相談にのれるのは看護職だと思うからです.
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