看護□社会学
医療社会学の提唱
杉 政孝
1
1立教大学社会学部
pp.70-71
発行日 1967年3月1日
Published Date 1967/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913079
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1年間にわたって書きつづけてきたこの講座も,本号をもっていよいよ終わりとなるが,最後にあたって少し視野を拡大して,看護社会学は実は医療社会学の一部分であることを指摘しておく必要があろう。言うまでもなく,病院に働いている者は看護婦だけではないし,さらに病院職貝のほかに患者あるいはその家族を含めて考えることによって,病院という一つの場面における医療的社会構造の全貌がはじめて明らかになる。したがってそこにはまず,職員と患者ないしその家族のすべてを含めた複雑な人間関係全体を対象とする医療社会学が成立し,さらにその中で特に看護婦が直接に参加する場面だけを取り出し,それを看護婦の立場からながめた時に,看護社会学が成立すると考えるのが適当である。したがってこの講座においては,これまで看護の社会学のみに視点を限定して述べてきたのであるが,実はそれに先だって病院の複雑な社会関係すべてを対象とする医療社会学とも称すべき対象領域と,そこでの問題意識と学問的な方法論とがまず確立し,それと同じ原理と方法論による部分的なアプローチとして看護の社会学が説かれるのが適当な順序であっただろう。その意味では順序が逆になったかもしれないが,この講座を終えるにあたって,医療社会学の大体のデザインとその問題の概要を述べておきたい。
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