連載 スクラブナース5年生・59
日米「胃がん」事情
鈴木 美穂
pp.355
発行日 2010年4月10日
Published Date 2010/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101726
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先日,ナースを対象にした化学療法の勉強会に参加した。あるプレゼンターが聴講者に向けて「胃がんを致死率の高いがんだと思う人はどれくらいいますか」と問いかけたとき,200人以上が参加していた会場のほとんどが手を挙げた。プレゼンターが「そうですね。みなさんがケアされている胃がん患者さんはみなターミナルだと思います」と継いだので,聴衆はみなうなずいていた。うなずかなかったのは私と一緒に参加していた日本人のナースの2人だけだっただろう。隣で彼女が「胃がんは治せるがんだよね」と同意を求めたので,私はそれにうなずいた。
しかし,あまりにアメリカのナースたちの胃がんに対する認識が私たちのものと違うので,気になり,家に帰ってきて調べ直したところ,私たちの認識が全く正しかったわけでもないことがわかった。たしかに,胃がんの5年相対生存率を比べると1,2),アメリカでは約25%であるのに対し,日本では約62%と数段によい。さらに,臨床進行度別5年相対生存率をみると,限局性の場合,日本では約95%であり,私たちの認識が裏付けられた。アメリカでは胃がんは限局性であってもわずか60%の5年生存率である。
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