連載 感染管理のメチエ・2
[座談会]感染管理から考える―組織のジレンマ 現場と管理者の間で
藤田 烈
1,2
,
岩田 健太郎
3
,
大曲 貴夫
4
1東京大学大学院医学系研究科 生物統計学疫学予防保健学分野
2日本看護協会認定看護師感染管理分野
3神戸大学大学院医学研究科 微生物感染症学講座感染治療学分野
4静岡県立静岡がんセンター感染症科
pp.233-237
発行日 2010年3月10日
Published Date 2010/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101699
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前回に引き続き「感染管理のメチエ」の第2回をお伝えする。2009年の新型インフルエンザ対応は,一般の非医療従事者から政府レベルまで多くの教訓を与えてくれた。発熱外来という診療体制と感染症の相性の悪さ,咳エチケットなど標準予防策の認知,感染症という疾患そのものの認識の刷新,現場の医療従事者がプロとして働くためにもたねばならない最低限の意識……。
これらの教訓だけでなく,今回の一連のインフルエンザ対応は同時に,組織内変革を行なう格好のチャンスでもあった。実際に,いままでは組織の上層部への報告がないと動けなかった感染制御チームやICNに,かなりの権限委譲がなされたという。
しかしながら,専門性のあるスタッフが確固たる理念のもと,感染管理確立をめざし行動を起こしても,組織内で機能的なチームをつくりあげるには数々のハードルがあるのも事実である。専門性をもつスタッフが,組織のなかで機能的に役割を発揮するには,どのように振舞えばよいのだろうか。
今回は,前回に続き感染症診療のトップランナーであり,感染管理の普及につとめる岩田健太郎氏と大曲貴夫氏,そしてICNのリーダー的存在でもある藤田烈氏に,感染管理から考える組織のジレンマについて語ってもらった。
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