連載 スタッフの倫理的感受性を高める ナースマネジャーがともに考える臨床倫理――臨床看護師が直面する倫理的ジレンマを紐解く・1【新連載】
看護倫理と倫理の原則
竹之内 沙弥香
1
,
田村 恵子
2
,
浅井 篤
3
1京都大学大学院医学研究科医学専攻社会健康医学系医療倫理学分野
2淀川キリスト教病院ホスピス看護課
3熊本大学大学院医学薬学研究部生命倫理学分野環境生命科学講座
pp.61-65
発行日 2010年1月10日
Published Date 2010/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101658
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1 はじめに
臨床で働く看護師は,日常のケアにおいて多くの倫理的ジレンマに遭遇している。それらの倫理的ジレンマを「あえて表沙汰にする必要はない」と捉える医療の文化が残るなか,看護スタッフの心の中のもやもやは,解決されることのないまま日々の業務に追われていることが多い。また,看護管理者は,そのような状況を困ったことだと頭を抱えているのだが,切り出し方がわからず,結局その日を終えてしまうか,その場のフォローを行なうことで対処しているという現状があるようだ(藤原,2005)。
ナースマネジャーには,スタッフの倫理的感受性を高め,倫理的ジレンマから目をそらさずに向き合い,話し合える環境をつくるという役割がある。しかし,それらの役割を認識していながらも,さまざまな制約から,スタッフと倫理的ジレンマについてじっくり考える時間を確保しづらいのが現状であろう。また,いざスタッフとともに倫理問題の検討に取り組もうとしても,ディスカッションの道筋がうまくたてられない,倫理的考察をするのに自信がない,といった理由で,満足のいく話し合いが持てないこともあるだろう。
そこで,現状を打破するための一助になればと,本連載を企画した。看護スタッフが抱えるジレンマを紐解くための手がかりとして,本連載を役立てていただければ幸いである。
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