連載 病院のことばとコミュニケーション――ポライトネス・ストラテジーの視点から・12【最終回】
難解な医学用語を分かりやすく説明する工夫―患者・家族と医療者の情報共有のために
吉岡 泰夫
1,2
,
有満 憲恵
3
1別府大学大学院文学研究科
2日本語教育研究センター
3済生会熊本病院
pp.1167-1174
発行日 2009年12月10日
Published Date 2009/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101638
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はじめに
今回は,難解な医学用語を患者・家族に分かりやすく説明する工夫として,医療者のみなさんから高い評価を得た国立国語研究所の「病院の言葉を分かりやすくする提案」を取り上げます。
国立国語研究所「病院の言葉」委員会は,2008(平成20)年10月にこの提案の中間報告を臨床研修指定病院・医療教育機関・学会・マスコミに発表するとともにホームページに掲載しました。同年12月まで,この提案に対する意見を医療者・非医療者双方から公募しました。約900件の意見が寄せられ,「この提案は参考になるか」という質問に,医療者の97%,非医療者の94%が「参考になる」と答えています。
そして,2009(平成21)年3月,最終報告の発表と同時に,市販本(国立国語研究所「病院の言葉」委員会編著『病院の言葉を分かりやすく―工夫の提案―』勁草書房刊)を出版しました。この本は初版が発売直後に完売し,即増刷と,医療の本としては異例のベストセラーになりました。
この提案は何のために必要か,どういう方法で医療者のみなさんから役立つと評価される提案に仕上げていったか,どのように活用できるか考えていきましょう。
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