臨床外科交見室
カルテ開示と医療情報の共有
原 春久
1
1みなと医療生活協同組合協立総合病院外科
pp.742-743
発行日 1998年6月20日
Published Date 1998/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903206
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私たちの病院の所属する日生協医療部会は,1991年医療生協の「患者の権利章典」を発表した.その内容にはインフォームド・コンセントに関連する「知る権利」「自己決定権」が含まれている.私たちの外科ではこの実践の一環として癌告知を積極的に進め,カルテ開示を実施した.癌告知の原則は患者の知る権利を重視して行っており,日常の医療の多くの場面で患者が告知を望むかどうかを確認する努力をしている.また告知後の患者の動揺を支えるために家族の同意は必要と考えている.外科病棟で癌告知が約90%行われるようになった1995年10月よりカルテ開示を実施した.
方法を示す.病棟では毎日回診の前にカルテを患者のベッドサイドに配布し,回診が終了する約2時間後に回収する.外来では看護婦の予診から医師の診察までの間30分前後患者にカルテを渡す.カルテが患者の手元にある間に閲覧するのは自由である.この方法では業務上の支障がなく,患者がカルテ搬送をするなどの業務上の利点もある.
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