焦点 新型インフルエンザに対応した医療体制をどう整えるか
新型インフルエンザ流行規模の想定と対策―福岡市民病院の取り組みから
塚﨑 惠子
1
,
平川 勝之
2
1福岡市民病院看護部
2福岡市民病院
pp.1136-1143
発行日 2009年12月10日
Published Date 2009/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101634
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はじめに
新型インフルエンザは,鳥や豚由来のインフルエンザウイルスが突然変異により,動物-人,そして人-人感染を獲得することにより発生する。通常の季節型インフルエンザウイルスとは表面抗原が異なり,ほとんどの人が新型ウイルスに対する免疫力をもたない。福岡市民病院(以下,当院)は,かねてより世界中を震かんさせている強毒性の鳥インフルエンザA(H5N1)に備え,人々の健康被害を最小限に留め,社会・経済機能を破綻させないことを目的に,事前の対策を講じ,新型インフルエンザ出現後の行動計画を準備して,対応マニュアルを作成した(表1)。
2009(平成21)年4月24日,メキシコで豚インフルエンザA(H1N1亜型)(以下,新型インフルエンザ)が発生してすぐに,医療体制第1段階:準備期が病院長より宣言された。今回,新型インフルエンザ世界的大流行の宣言,いわゆるWHOフェーズ6の状況下で,厚生労働省が示す発生段階と方針(図1)に沿って流行規模を想定した当院の対応策や独自の取り組みの経過を紹介する。
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