発行日 2008年10月1日
Published Date 2008/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008338470
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鳥インフルエンザウイルスが変異して、ヒトからヒトへと効率的に伝播する特性をもつ新型インフルエンザウイルスとなり、世界規模の大流行を起こすのではないかと予想されている。新型インフルエンザウイルスに対して、人類は免疫をもっていないため、多くのヒトで重症化する可能性が懸念される。新型インフルエンザの世界的な流行(パンデミック)は、10~40年周期で起こっており、この周期からみると、今後いつ新型インフルエンザが発生してもおかしくないということになる。また、鳥インフルエンザのヒトへの感染が繰り返し生じている現状は、鳥インフルエンザウイルス遺伝子の変異を起こしやすくし、結果として、新型インフルエンザウイルスの発生確率を高めていると考えられる。厚生労働省の被害予想は、罹患率を全人口の25%とし、医療機関への受診患者数は約1,300万人から2,500万人、入院患者数は53万人から200万人、死亡者数は17万人から64万人にのぼると推定。対策としては鳥インフルエンザの発生抑止、発生してもヒトへの感染阻止を行うが、海外で発生した場合は初期段階において、水際対策などにより、感染進入防止を行う。それでもパンデミック期に突入した場合は、対策の主眼を、健康被害を最小限にとどめること、社会・経済機能の破綻を防ぐことに移す。医学的な介入としては、ワクチンと抗ウイルス薬が準備されている。
©Nankodo Co., Ltd., 2008