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Medical Current of
インフルエンザ—前進するインフルエンザ対策/新型インフルエンザをめぐって
田代 眞人
1
1国立感染症研究所
pp.79-83
発行日 2000年1月1日
Published Date 2000/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903386
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前進するインフルエンザ対策
インフルエンザの重要性
インフルエンザはA型またはB型インフルエンザウイルスの感染による急性呼吸器感染症であり,毎年のように冬季に流行する.臨床像は,上気道炎症状に加えて,38℃を超える突然の発熱,全身倦怠感,頭痛,関節痛などの強い全身症状が全面に出ることが特徴であり,数日間の臥床を強いられることが多い.厚生省の感染症動向調査(サーベイランス)では毎年数十万人の患者発生が報告されているが,実際には100万人単位での流行があるものと推定される.香港型の出現から30年,ソ連型は20年が経過した現在では,ほとんどの人がすでに免疫を獲得しているために,大きな流行は起こらず症状も軽くすんでいる.したがって,インフルエンザを軽視する憂慮すべき傾向にある.
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