原著
福岡県におけるRSウイルス流行期間の検討
岡田 賢司
1
,
西村 千織
,
橋本 孝史
,
三上 修
,
山上 英臣
1福岡学園福岡看護大学
キーワード:
集団サーベイランス
,
RSウイルス感染症
,
福岡県
,
疾病の流行
Keyword:
Respiratory Syncytial Virus Infections
,
Population Surveillance
,
Epidemics
pp.1805-1811
発行日 2020年12月1日
Published Date 2020/12/1
DOI https://doi.org/10.34433/J00642.2021054056
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RSウイルス(respiratory syncytial virus:RSV)の流行開始時期の指標に関する検討が行われ、開始時期については、おおむね把握できるようになった。一方で、終了時期は、年ごとおよび都道府県ごとで流行収束パターンが異なるため、終了時期の推定のための報告は少ない。本研究ではRSV流行期間を考えるうえで、1年間のRSV感染報告数のうち、流行期間に占める報告数の割合(捕捉率)が重要と考え、捕捉率の観点から検討を行った。対象は、福岡県とし、データソースは2012~2017年の感染症発生動向調査週報(Infectious Disease Weekly Report:IDWR)を用いた。流行期間については、流行開始から6ヵ月、7ヵ月、8ヵ月の期間を仮定すると、捕捉率が平均値80%を超えたのは流行期間を8ヵ月とした場合であった。一方で、1年間のRSV感染症報告数のうち、全報告数の約90%を捕捉できる期間を流行期間と仮定すると、流行期間は平均値8.8ヵ月であった。また、福岡県のIDWRでは、流行の終盤が2峰性を示す年もあった。1つ目の峰の後に現れる2つ目の峰は小さいが、流行期間を捉えたRSV感染予防対策を講じるうえでは2峰性の収束パターンを考慮する必要性が示唆された。
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