特集 使える「患者役」になろう!
模擬患者教育の立場からみた「患者役」の演じ方
福井 みどり
1
1財団法人ライフ・プランニング・センター健康教育サービスセンター
pp.876-882
発行日 2016年11月25日
Published Date 2016/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200621
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ライフ・プランニング・センター(LPC)の模擬患者育成の経緯
財団法人ライフ・プランニング・センター(以下,当財団)は,1973年,当時聖路加国際病院院長代行だった日野原重明が「一人ひとりの健康づくりとより良い医療の実現」をめざし設立された財団である。1970年代,医師やナースの継続教育がまだ一般に導入されていないときに海外から講師を招聘し,さまざまな新しい医療の知識と技術の普及に努めてきた。
1975年,当財団は「模擬患者参加による教育法」にいち早く着目し,カナダのマクマスター大学のハワード・バロウ教授をLPC国際フォーラムに招聘し,日本の医学看護教育に模擬患者(以下,SP)の概念とその活用である「模擬患者参加による教育法」を紹介した。その後,米国・カナダから講師を招聘して,同様のワークショップを3回開催してきたが,SPを活用した教育は当初はほとんど普及しなかった。それは日本における医療従事者教育が長い間座学が中心であったこと,医療者が主導を取って患者を疾患別,臓器別にみるという医療であったこと,また医師の国家試験は医学知識に限られ,臨床能力をテストする機会はなかったことなどが理由としてあげられる。
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