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はじめに
米国ピッツバーグ大学医学部内のシミュレーション教育・研究センターである「WISER(University of Pittsburgh, Peter M. Winter Institute for Simulation, Education & Reserch)」は,最先端の医学教育方法を開発し,プログラムを提供する米国で最大級のシミュレーションセンターとして米国内のみならず,世界中から注目されている。
WISERには,計1200m2全16室のトレーニングルームと23体の高機能シミュレーターのほか,多数のタスクトレーナーが備えられて臨床さながらの状況でのシミュレーショントレーニングを行なうことが可能である。提供されるプログラムは,学生のための基礎教育・訓練に加えてシミュレーション教育を行なうためのインストラクターを育成するコースもあり,国内外から多くの教育者,研究者の訪問を受け入れている(表1)。
2009(平成21)年7月5日,日本医療教授システム学会主催によりWISERのスタッフが来日して,「WISER Nursing Simulation Symposium in Tokyo」が開催された。WISERのスタッフに加え,ハワイ大学医学部SimTikiシミュレーションセンターのスタッフのコラボレーションによって,看護教育にシミュレーション学習を統合する方法やシミュレーションプログラムの組み立て方などが紹介され,参加した日本の看護教育者を大いに刺激した。通訳・コーディネーターを広島文化学園大学看護学部の岩本由美准教授が務め,私は日本の看護師チームのスタッフとして,ハンズオンのファシリテーターなどを務めた。当日は国立国際医療センターを会場に,表2にある学習目標とプログラムのもと,全体セッションとハンズオンセッションにより,朝から夕方まで充実のプログラムが組まれた。
本稿では,このシンポジウムで紹介された内容を中心に,看護教育の一手段としてシミュレーションを取り入れることへの展望について考察したい。
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