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はじめに
近年,日本の医療現場においては数々の医療制度改革実施のなか,医療の質の安定・向上と効率性が求められている。地方にある飯塚病院(以下,当院)は,救命救急センターを有して1次から3次までの医療を提供し,地域医療支援病院として機能している。国の政策医療に積極的に取り組んでいる元気のある病院と自認している。
しかし,全国的な現象である医師や看護師不足は当院でもみられ,重要な問題であるととらえている。病院スタッフは,働く意義が感じられ働きやすい職場環境があれば,満足度も高く仕事の継続が可能で定着率も上がると思われる。
アメリカの行動科学者であるフレデリック・ハーズバークは,人間の欲求には経済的欲求(衛生要因)と,心の奥底にある向上心を満たす欲求(動機づけ要因)があるといっている。その両方の欲求が満たされれば,人は何事にも意欲的に取り組むことができると思う。しかし現実には,その人の内部や外部環境により難しい面が多々あるものである。
当院院長は,まずこの衛生要因が十分かを常に念頭においている。病院経営のトップが衛生要因を第一義的に考えているということは,働くスタッフにとってはプラスのストロークであり,意欲につながることである。これは当院の強みで,人事制度や人事考課と直結している。
当院では2003(平成15)年に1年間を費やし,コンサルティング会社を導入し,看護部・事務部・コメディカル・組合と代表者による人事制度プロジェクトチームを結成し,抜本的な人事制度の見直しを行なった。それによって,目標管理が人事考課にまで反映するシステムに大きく変更された。その経緯と目標管理や人事考課の実際や問題点について述べてみたい。
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