特集 看護記録の質向上のために何ができるか
医療事故防止につながる看護記録のあり方―院内監査とカルテ勉強会を実施して
嶋崎 明美
1
,
出口 直孝
2
,
内海 寿子
2
,
森内 ルミ子
2
1独立行政法人国立病院機構姫路医療センター
2独立行政法人国立病院機構姫路医療センター病歴管理室
pp.274-277
発行日 2008年4月10日
Published Date 2008/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101171
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緒言
現在カルテは「診療記録」と位置づけられており,患者と医療関係者とのコミュニケーションの基本媒体であるとともに,チーム医療の共通媒体である1)。カルテ記載には,1)医療行為を支援し,2)教育・臨床研究・病院経営の基本情報を得る他に1,2),3)情報を共有して医療事故発生を防止する,4)医療行為を再現する手段として医療紛争を適正に解決する目的がある2-4)。質の良い医療を提供するためにはカルテが整備されていることが基本であり2),カルテ記載を充実させることが医療事故防止につながるのである。
国立病院機構姫路医療センター(以下,当院)は紙カルテで,2007(平成19)年より入院カルテの経過記録を職種に関係なく共用することになった。この一体化は,チーム医療の実践,記録の効率化とともに,記録の不一致の解消などによりリスクマネジメントに寄与するものと考えられた4)。しかし,多くの医師から「もとに戻して看護記録を別にしてほしい」と希望が出された。看護記録を「下手な日記」と評する医師もいたのである。
われわれはこれまで,医師記録充実を目的として院内監査,カルテ勉強会,模擬カルテ開示を行なってきた。今回看護記録についても監査し,看護師対象のカルテ勉強会を行なったので報告する。
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