小特集 肝炎 その院内感染防止対策
院内感染防止対策のあり方
岡田 清
1
,
神山 一郎
1
1都立大久保病院産婦人科
pp.292-295
発行日 1981年4月1日
Published Date 1981/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207429
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肝炎ウイルスとしてはA型及びB型肝炎ウイルスが発見されているが,このうちA型肝炎は院内感染ではほとんど問題がない.これはA型肝炎の感染がその発症前に限られており,したがって肝炎症状を伴い医療施設を訪れるときにはすでに感染を起こさない状態になっているからである.A型あるいはB型肝炎以外に問題となる肝炎として非A・非B型肝炎がある.この肝炎もウイルスに起因するものであり,しかもその持続的保有者(キャリア)が存在することが知られている.したがって本稿で詳述するB型肝炎の場合と同様に,本症が医療施設内における肝炎として,将来問題となる可能性がある.しかしながら本症についてはまだ不明の部分が多く,本症と院内感染との関係を論ずる時期には至っていない.
このようなわけで本稿ではもっぱらB型肝炎の院内感染予防について述べることとする.HBウイルスの院内感染予防については,多くの発表がみられるが,ここでは編集者の意向により,東京都B型肝炎対策専門委員会答申1)を中心として述べる.感染予防対策は画一的なものではなく,その施設の規模,人員,医療内容,設備,経済性などを考慮して検討し,それぞれ具体的に決めるべきものである.本稿が,このような具体的対策を検討,実施する上で参考になれば幸いである.
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