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はじめに
看護記録監査は,看護の質の向上を目的に看護記録記載基準を遵守し,看護ケアの遂行度,看護ケアの適切性を評価するうえでの絶対要素といわれている。公立豊岡病院(以下,当院)でも看護部記録委員会を中心に記録監査を行ない,看護の質の保障に努力してきた。
2005(平成17)年5月の新築移転後,2006(平成18)年1月に看護支援システムを導入,看護記録の電子媒体化が実現した。この時点での病院の状況や,看護支援システム導入,看護記録をフォーカス記録に変更したことなどを変革の強みと捉え,紙面による看護記録監査から,電子媒体を利用し監査する「公開オーディット」を提案し実践している。
公開オーディットを開始するまでの当院での記録監査は,記録委員会メンバーを中心に看護記録監査表を用いて,部署ごとに無作為抽出して監査をし,監査結果は当該病棟看護師長を通じて文書で通知するという方法で行なってきた。この方法による記録監査では,1)記録監査の目的や監査内容の具体的指導部分についての理解不足がある,2)部署ごとのカンファレンスや学習会での記録修正の伝達に限界があり,指導力による差が生じている,などの問題点があった。さらに,職場風土の変革や,看護師の自己研鑽の意欲向上を含めた,記録改善に向けての取り組みが課題となっていた。
そこで,看護記録の電子化に伴い,1)看護師個々が,どこからでも誰でも閲覧できるシステムに記録をすることを認識し,看護実践への責任を明確にすること,2)看護記録ガイドラインを遵守し,開示にかなう記録をするよう意識づけることが,さらに重要な課題となった。
こうして記録委員会としては,看護実践を記載する能力の醸成のために実際的な教育を行なうことと,記録の標準化のために要綱を見直し修正するという役割を求められていった。そこで今回,看護の質の向上と,看護師の記録に対する姿勢の変容をめざした「公開オーディット」の取り組みを紹介する。
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