連載 企業経営から学ぶ――看護管理者に求められる経営ビジョンと社会貢献・1【新連載】
サービス・マーケティングが看護管理になぜ重要か
山本 昭二
1
,
青木 菜穂子
2
1関西学院大学大学院・経営戦略研究科
2トータル ライフケア プロモーション
pp.49-53
発行日 2008年1月10日
Published Date 2008/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101117
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サービス・マーケティングとサービス・マネジメント
病院経営は今,高齢化,低成長時代のなかで,疾病構造の変化や顧客意識の変化,医師や看護職者の不足など,多くの問題を抱えています。さらに,医療費の定額払い制度が導入されるなか,入院期間の短縮を図るか,病床数を削減するか,顧客の獲得を図るかなどの努力をしなければならない状況にあります。また,医療技術の標準化などにより,組織の存続のためには,支出を抑えるだけの経営ではなく,他病院との差別化を図り,競争優位を保たなければならない時代になったといえます。そして,経営の中心的存在が,医療者から患者へと移り,医療サービスの品質による競争が病院間で行なわれているといえるでしょう。そこで,サービスの品質による差別化で病院のあり方を考えるために,サービスをどのように顧客に提供するかということを研究しているサービス・マーケティングについて考えてみたいと思います。
さて,サービス・マーケティングとはいったい何でしょうか。またサービス・マネジメントとの違いはどこにあるのでしょうか(図1)。サービスはそれを生み出す過程で,顧客が参加することで成り立ちますが,サービス提供者と顧客の相互作用によって,顧客にとって価値のある満足を生み出し,その代価を得る仕組みがサービス・マーケティングです。一方,サービスを提供する仕組みを具体的に運用するのがサービス・マネジメントです。サービス・マーケティングは,顧客とサービス提供者の関係に重点をおいた概念で,サービス・マネジメントはそれを効果的,効率的,体系的に運用するという実行面に重点がおかれています。
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