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人と地域と地球の健康を志向する新しいライフスタイルLOHAS(ロハス)
最近,食品の安全・安心への関心や,フードマイレージ注1)の観点から国産や地元の農産物を食べようという機運が高まっている.また,スーパーマーケットの野菜売り場などでは “地産地消” と書いたポスターやショーカードが目につくようになった.学校でも,食育をテーマとした授業や給食を採用するところが増え,国産や地産地消,オーガニック農産物への関心が高まっている.
ここに1つの調査データがある.自分の健康と環境は関わりがある,と考える人が増えているというものだ(図)注2).健康と環境とどのような関わりがあるのか? その答えは,LOHAS(ロハス)というライフスタイルを実践する人々の考え方や行動から知ることができる.LOHASとは,Lifestyles Of Health And Sustainabilityの頭文字をとった造語である.これは健康で持続可能な社会を志向するライフスタイルの意味で,1990年代後半にアメリカで生まれた.環境や社会問題に関心を寄せ,暮らしを通じてそうした問題の改善に貢献したいと願うものだ.彼らはカーボンオフ(低炭素)で健康的かつ心豊かな生活を志向し,健康とは自分や家族の健康だけでなく,地域社会や地球の健康も含まれていると考えている.また,自分たちの暮らしが途上国の人々や,他の動植物を犠牲にしたものであってはならないと考える“意識の高い(conscious)”人たちである.筆者は2002年に日経新聞に寄稿した記事で日本に初めてロハスを紹介し,その考え方は2005年から広がり,現在は一般名詞や形容詞として,“ロハスな宿”や,“ロハスライフ”などと使われるようになった.
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