連載 〈続〉基本からわかる医療経営学・8
医療におけるサービス・マーケティング
磯和 由佳
1
1流通科学大学サービス産業学部
pp.998-1002
発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101328
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
今,医療の現場では様々な問題が起こっています.医療費抑制による病院経営の厳しさ,医師や看護師を主とした医療従事者の離職や不足,モンスター・ペイシェントとも呼ばれる,消費者意識が高まり権利を主張し始めた患者など,医療を取り巻く状況は変化しています.今回はサービス・マーケティングの考え方を学びながら,医療サービスにおける展開について考えてみましょう.
まず,サービスとは何かについて明らかにする必要があります.アメリカマーケティング協会では「サービス」を「販売のために提供される,もしくは財の販売と結びついて提供される諸活動,便益,満足」と定義しています.「サービス」は形のある「モノ」とは異なった特性があり,①無形性,②不可分性,③変動性,④消滅性が挙げられます.例えば診察は形がなく,医師の診察と患者の受診という行動は同時に発生し,やり直しはできません.また,患者それぞれに違った症状を呈するため標準化しにくく,医師もその時の状況により,まったく同一品質のサービス提供が困難です.そして,診察は事前に作り置きしたり在庫ができず,提供されると同時に消滅してしまいます.
医療も医師や看護師など医療従事者によって行われる「サービス」なのです.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.