BOOK REVIEW
―看護労働環境への熱く,深い洞察を,しっかり受け取りたい―『看護師の働き方を経済学から読み解く 看護のポリティカル・エコノミー』
勝原 裕美子
1
1聖隷浜松病院
pp.1089
発行日 2007年12月10日
Published Date 2007/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101101
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■日々の疑問・悩みを経済学の視点で捉え直す
著者の角田由佳氏とは,もう10年以上も前からの付き合いだ。労働経済学を専門とする角田氏は,看護師同士で熱く議論を闘わせていると,「ちょっといいですか?」と,すーっと会話のなかに入ってきて,非常に素朴な質問を投げかけてくる。その疑問がいつも新鮮で,それをきっかけに論議がうまい具合に展開したり発展したりすることがよくあった。穏やかな人柄なので激することはないが,彼女の看護労働環境への熱く,深い洞察は,本書の随所にちりばめられている。
本書は11の章から成るが,大別すると4つのポイントがあると思う。第1点は,第1章「経済学からみた看護サービス」で代表されるように,一般的にサービスの特徴といわれていることが,看護サービスにおいてはどのように理解されうるかという視点である。これが理解できれば,その後に続く章の理解が非常にスムーズである。
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